最近5カメや8カメなどのマルチカメラ編集してると気づくのです。
「俺ってタイムラインがキレイだな~」と。※ のっけから反感買いそう
少なくとも新人よりはタイムラインがキレイである。
この「キレイ」であるということと「編集が上手い」ことは比例してると思うのです。
映像と音声がバラバラ配置、頭とケツがフレームずれを起こしている、無意味なトラックの追加など、目で見てバランスの悪いタイムラインは編集の基礎「整理整頓」が出来ていないことと同じ。
今回はそんな良い編集者とタイムラインの美しさ(整理整頓)について書いていきたいと思います。使ってる編集ソフトは相棒のEdius5(古っ!)。
キレイなのは掃除を怠らないから
ビデオ編集とは「見る人に見やすいようにさせる」ことと「見る人に伝えたい」という2種類に分けられます。
前者は主に記録系、ニュース、ドキュメンタリーなど、リアルな事柄を第三者に見せる編集。後者は映像作家系などのアーティスティックな人達が俺の映像カッコイイだろ?でしょ?っていう、言わば編集という名の創作作業のことを言う。
どちらにせよCGでない限り、撮影素材があっての編集であることに違いはない。撮影素材とは「素材」であり、編集とは「調理」である。魚を例にとるなら、骨や内臓は取り除かねば食べてもらえないということ。
旨い、不味いかは別として調理の前には不要な部分を排除することが良い編集の第1歩である。
しかし、ここで注意しておきたいのが、不要な部分(ゴミ)を見極められる「目」がないとダメなんです。
せっかく旨い部分なのにゴミとして捨ててしまっては魚(素材)が可愛そうである。強いては釣ってきた漁師(カメラマン)に失礼。
ゴミかゴミでないかは経験によるところが大きいが、私からアドバイスをするなら「客観的な目」を持つことが重要であると言いたい。
見る人が自分限定じゃないならば、第三者の目線に立ってみよう。自分は食べ飽きていてもういらないと思っていても、他人は食べるのが始めてだということもある。常に意識をしよう「第三者の目線」を。
1フレームに宿る整理整頓術
編集にとって1フレームとは最小単位であり、詳細に操作できる限界値である。これ以下のフレームはなく、すなわち「静止画」のことです。
基本NTSCでは30枚の静止画(フレーム)で1秒とする規則がある。厳密にはインターレース換算で59.94 iというドロップフレーム考慮のわけがわからないことになってますが、基本は1秒30枚という静止画のよせ集めが1秒の動画である。
この1フレーム単位の整理とは主に最大スケール(タイムライン尺度)の拡大作業です。
特にマルチカメラ編集では1フレームの誤差がクリップの長さによって変わるので、非常に注意しておかなければいけない。
1フレームを制する者は編集を制するといっても過言ではないでしょう。複数のクリップが乱立している状態では「規則正しい同期」が大切。
メイントラックにマスター素材があり、インサートトラックにはPinPや合成アルファ、音声トラックには現場音やBGM、SEなど様々なクリップが追加されていきます。
そんな時、適当なバランスで配置をし、プレビューしながら正確な位置を決めていくんですが、問題は決めた後に出てくる。
私の性格にもよりますが、クリップの最後(または先頭)が垂直に他のクリップと1フレーム基準で合っているかどうか?が重要なんです。
マーカーでもかまいませんが・・。要はズレが生じた時に把握しやすくする為。後でちょこちょこイジったり、間違ってリップル削除無しにしてた場合など・・。
几帳面に整理しておけば、誤作動が発生したときも確認がしやすくなります。ゆえに、おのずとクリップ同士が揃う編集を心がけているというわけです。
当然、見た目にタイムラインがキレイに見えるという理由でもある。
クリップ名・クリップ表示色を使い分ける
これは、素材の数が多ければ多いほど効果を発揮します。全てのクリップ色が同じ色だとインサートする映像を把握しにくい。
あらかじめカメラごとに色分けをしておけば直感で作業が行いやすく、ミスも起こりにくいと考えます。
クリップ名も然り、単純に1カメと書いておくより、「ホワイトが狂っている」や「トビ気味」などといったフィルター処理を行うべきかどうか瞬時に分かる。
音声クリップも「左Ch:MC」と書いておけば、納品された相手側も修正する際に助かるだろう。
気づけば、様々な色使いでタイムラインがキレイに見えるという理由でもある。
フルスケールで見る全体調整
さて、編集も終盤にさしかかり、最終チェックを行う。私はこのとき「必ずフルスケールでタイムラインの全体像を見る」ことにしている。
いやおうにも見る人ばかりだと思うが、全体像を見ると「何が抜けているのか」や「何が余分か」が一目瞭然である。
特にトータルタイムとタイムラインのケツが合っていない場合などは、かなり後ろのほうにゴミ(素材)が落ちてたりする可能性がある。
それに映像バランスが手に取るように分かる。ABCDという演目があるとする。フルスケールで見た場合、Bだけが以上に長い・・。
確認してみると分割だけしていて削除していなかったこともありました。これは拡大したままでのスケールでは確認しにくい。
タイムラインの声
仕事というのもの全般に言えることですが、映像制作の中で特に「編集」という作業は神経を使います。
100の素材から60を拾い、さらに30にしていき100に見せる。こんな魔法みたいなことを日ごろからやっているわけです。
一つ一つのカットが持つ意味を知り、取捨選択の嵐。1フレームの細部に注意を払いながらも全体のバランスを考えていく。
編集といえば昔はテープtoテープ(リニア)でした。それを思えば現在のノンリニア編集はどれほど素晴らしいことか!
昔は一時停止にしてただけでメチャクチャ怒られましたからね(笑)PCの普及により、ビデオ編集にとってはいい時代になりました。
時代は進み、編集ソフトにはたくさんの種類が出てきましたよね。安くて使いやすいソフト、高いだけで使いにくいソフト・・。
そんな編集ソフトのタイムラインはその人の個性が出ます。同じソフト使用しててもパレットや表示レイアウト、トラックなんかは千差万別。
普段は気にもしてないでしょうが、一度編集済みのタイムラインを見直してはいかがですか。なんらかのメッセージがあるかも。
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