ウチの子の映りが悪くて~、今年は良くなかった~、うんうん、わかる~。などと、ママ友同士の会話が聞こえてきそうな昨今、いかがお過ごしでしょうか。
業者の方で、例えば幼稚園の発表会などを撮影する際、最低でも2台で撮影するかと思います。
1台はメインで、もう1台はおさえとして。ガチで楽団やミュージカル撮影なんかは5,6台はあたりまえですかね。有名ミュージシャンのLIVEなんかは20台くらい使ってますよね。
さて、マルチカメラ撮影とは複数台のカメラを使用して、スイッチャーという機材を通し、ディレクター(またはそのままスイッチャーと呼ぶ)がリアルタイムでカメラを切り替えながら撮影していくことを言います(この記事内では)。
他に、複数台のカメラでそれぞれパラ撮りをし、編集で合成する場合もありますよね。機材セッティングが楽で、後で困る方です。
映画「マトリックス」で一世を風靡した「バレットショット」もマルチカメラ撮影でしたね。要はたくさんのカメラで撮っている撮影をマルチカメラ撮影と言います。
マルチカメラ撮影のメリット
このマルチカメラ撮影というものの利点は、1台では追いきれない被写体を追うことができるという最大のメリットがあります。
1台のカメラだと、「Aという主人公が喋る」→「Bという脇役が喋る」を撮ろうとする際、カメラを振るか、あらかじめ2人が入る構図にせざるおえません。
AからBが離れた距離で、しかもアップを狙うとすると、早いパンで見にくい映像になってしまう。かといって2人を入れた構図のままだとロングすぎて臨場感に欠けてしまう。
これが2台あるだけで、AとBを瞬時に切り替えることができ、アップ→アップへ、またはロング→アップなどという芸当が出来てしまう。
A、B、C、D、Eがそれぞれセリフを喋っても2台の腕のいいカメラマンがいれば、それぞれをアップで抜くことが出来ます。1カメはA、C、E、2カメはB、Dと順番に切り替えればいいわけです。
しかし、これはカメラ位置がセンター(どこでも撮れる)に固定されている状態での話し。本当のマルチカメラ撮影の真髄は「臨場感」にあります。
それではセンター後方に2台、上手前方に1台、下手中央に1台、計4台に増やすとします(カメラマンは全て付いている状態)。
センター後方カメラは主にAとBのセリフをアップで狙い、下手カメラがABの2ショット。
上手前方のカメラは「見ているお客」や「通路から出てくるCなどを捕らえることができますそれぞれのカメラをスイッチャーが切り替えていくと、リアルタイムに演目の流れをカバーできるようになっています。
この撮影したビデオを見ると、見た人の視点がカメラ台数分あり、あたかもそこに存在しているような感じになるかと思います(強調して言うなら)。
そこがマルチカメラにおける「臨場感」というわけです。
それこそ20台ほどカメラがあれば、あんなトコやそんなトコにもカメラを置き、それらを繋ぎ合わしてテレビでよく見るような、臨場感たっぷりの映像に仕上がるわけです。
マルチカメラ撮影の真意
しかーし!、それとは別の意味で私らビデオ業者がマルチカメラにしなければいけない理由があるのです。そうです・・「演者をもれなく撮ること」です。
「購入者」が「演者(または家族)」である場合がほとんどだからです。
第三者に向けての販売であるならば、「臨場感」重視でよいでしょう。しかし、購入者は自分が映っていてナンボなわけです。
私らでは現在、幼稚園、中学校、高校、団体のイベント撮影が多いんですが、幼稚園の発表会や学校の合唱祭などは、グループで固まって演奏(合唱)するだけなので、正直、1人2カメで、メインがパンすれば一応全員撮れます。
問題は交響楽団や吹奏楽、劇やミュージカル、運動会の演技など、演者が特定しにくい撮影が非常に難しいわけです。
予算や時間の都合上、カメリハや事前に見学なんてできないことが多々ありますから。
楽団系で言いますと・・。
曲の進行に合わせて楽器やパートを撮りつつ、薄い低音なんかは絵の抜きどころに困ってしまいます。
打楽器中心の曲なんかは、木管が薄れてしまい、これまた絵の抜きどころに困ってしまいます。映りの良し悪しが曲で変わってしまう。
ミュージカルなんかは必ず主人公や主要脇役の数人で成り立ってるわけですが、全体合唱しか現れないキャストのみなさんもいるわけです。
そういう方も購入していただいていたら、撮らないわけにはいきません!。
運動会は狭い園庭で行う場合が多く、お客がひしめきあい、場所とりが難しくて死角ができやすい。なので最低2カメは必要になってきます。
こうしてマルチカメラは私たちの救世主として撮影技法のひとつに君臨しています。
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